MELVINS
official site
画像をクリックするとamazon.co.jpの該当アルバム・コーナーに飛びます。




MANGLED DEMOS FROM 1983
(2005 / Ipecac IPC-63)
melvins

MELVINSがデビュー前、1983年に録音したデモ音源。
メンバーは"キング・バゾ"ことバズ・オズボーン(g/vo)に加えマット・ルーキン(b)とマイク・ディラード(ds)。
これまで流出音源が出回り、ブートレグCDも出ていたが、本作では収録されなかったデモやデビュー当時のラジオ音源も含め、全18曲を収録している。
(一部タイトルがない曲もあり)
アップテンポの生パンク・ナンバーが多く、まだ後のMELVINSサウンドは確立されていないが、殺伐した雰囲気とヒネリの効いたユーモアは既に存在。
DIYパンク作品としてもそれなりに楽しめるし、オリジナル作品をある程度押さえた中級以上のファンだったら、バンドの原点を知る上で聴いておきたい。

(05/09/14)
★★★★★ ★★



6 SONGS / 10 SONGS / 26 SONGS
(1986 / C/Z CZ002)(2003 / Ipecac IPC-38)
melvins

MELVINSの記念すべきデビュー作。
バズ・オズボーン(g/vo、またの名を"キング・バゾ")、デイル・クローヴァー(ds)、マット・ルーキン(b)という編成で録音された。
BLACK SABBATHのヘヴィ・ドゥーム・リフをベースにしながらハードコアの殺伐とした雰囲気を持った独特のサウンドを聴くことが出来るが、まだ奥行きがなく、現在の彼らを知っていると薄味に感じる。
曲が粒揃いのため一聴の価値はあるが、まずは代表作を押さえてからだろう。

まず1986年に6曲を収録した7"『6 SONGS』がリリースされ、'91年に曲を追加したLP『8 SONGS』とCD『10 SONGS』が発表された。
ただ、LP/CDと7"は同じ曲でもテイク違いだった。

『6 SONGS』ヴァージョンは『GLUEY PORCH TREATMENTS』の1991年版カセットにもボーナス収録されていた。

2003年3月に『Ipecac Recordings』から『26 SONGS』がリリースされた。
こちらは『10 SONGS』(#1〜10)『6 SONGS』(#11〜16)全曲に加え、これまでブートレグ『1986 7" OUTTAKES』に収録されていた3曲(#17〜19)、未発表デモ音源(#20〜24)、コンピレーション『KILL ROCK STARS』に収録されていた「Ever Since My Accident」(#25)、ハイスクール時代のムチャクチャ演奏(#26)という構成。
26曲目でプレイしているのはカート・コベインだという説もあるが...?

(03/05/25)
★★★★★ ★★★



GLUEY PORCH TREATMENTS
(1986 / Alchemy VM-103)
melvins

本領発揮の正式デビュー・アルバム。
超ヘヴィで生々しいサウンドは緊張感いっぱいで、聴いていて怖くなるほど。
中でもスローで悪魔的な「Leeech」は初期MELVINS屈指の名曲。
1986年リリースのオリジナル盤はアナログのみ。'91年『OZMA』CD化の際に全曲がボーナス収録された。
2000年に『Ipecac』からリリースされた新装リマスター盤(Ipecac IPC-12)は音質アップ、さらにリアルな音像に浸ることが出来る。
しかもデモ音源12曲が追加収録されていてお得!

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



OZMA
(1989 / Tupelo TUPLP7(LP) / Boner BR16-2(CD))
melvins

マット・ルーキンがMUDHONEYに加入するため脱退、女性ベーシスト、ロリ・ブラック(またの名をロラックス。有名子役女優シャーリー・テンプルの娘らしい!)を迎えて作った2ndアルバム。
1曲目「Vile」、続く「Oven」など超ヘヴィなサウンドで攻撃してくるKO狙いの作品で、破壊力は申し分なし。
ただ、傑作である前作・次作に挟まれるとやや見劣りがする。
また、現行CDでは音の奥行きが不足しているため、リマスター盤が待たれるところだ。
KISSのカヴァー「Love Theme (From KISS)」はMELVINSのキャリアを通じての悪フザケ第1弾?

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



BULLHEAD
(1991 / Boner BR25-2)
melvins

MELVINS全キャリアを通じて楽曲の充実とヘヴィネスが最も理想的な形で両立したアルバム。
1曲目「Boris」は大地を揺るがすスラッジ・ドゥーム・リフが凄まじく、8分が短く感じる名曲。
スローで極ヘヴィなナンバーが続く中、アップテンポのロック・ナンバー「Zodiac」は異色でありながらカッコ良すぎだ。
ラスト「Cow」の最後のドラムソロも音数こそ少ないが効果的で、アルバム全曲文句のつけようがない。
『LYSOL』と並んでこれぞMELVINS!と言える傑作だ。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★★



EGGNOG
(1991 / Tupelo TUPCD31)
melvins

この時期のMELVINSは神。
いきなりケイオティックなリフから始まる「WISPY / I Don't Know But I Don't Feel So Good.」、パンキッシュなコーラスのアップテンポ・ナンバー「ANTITOXIDOTE / Pigs Don't Let It」、狂おしいほどに刺激的な「HOG LEG / Like Stee, Moanin Ludlow」と、最初の7分間の密度は濃すぎ。
続く4曲目「CHARMICARMICAT / Bastards」はスロー・リフが延々と続く12分50秒のスラッジ・マントラ。聴けば聴くほど深みにハマっていく。
残された道は死のみ。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



YOUR CHOICE LIVE SERIES 012
(1991 / Your Choice Live Series 012)
melvins

1991年1月23日、たぶんドイツのAlzeyにあるOberhausで収録されたライヴ。
全8曲、約30分のオフィシャル・ブートレグ的作品だが、内容は素晴らしい。
特に「Anaconda」ライヴテイクは必殺。
けっこう楽勝で入手可能だが、廃盤らしいのでお早めに。この時期の彼らのライヴを聴けるのは幸運としか言いようがない。
本作をリリースした『Your Choice Records』はNEUROSIS、SAMIAM、SCREAM、WOOL、VERBAL ASSAULTなど濃いバンドのライヴ音源をリリースしている。
なお、本作未収録の「It's Shoved」はコンピレーション二枚組10"『IT'S YOUR CHOICE』(Your Choice Live Series 013)で聴くことが出来る。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



MELVINS (LYSOL)
(1992 / Boner/Tupelo BR35-2/TUP42-2)
melvins

全1曲30分のスラッジ絵巻。
ロラックスが脱退、元EARTHのジョー・プレストンがプレイしている。
オリジナル盤は『LYSOL』(読みは"ライゾール")というタイトルだったが、同名の除菌消臭剤の商標を持っている会社からクレームが付き、現在の題名となった。
全編ワンテンポで引きずるスローでヘヴィ、頽廃と緊張を兼ね備えたコアなサウンドは圧巻。
本作を彼らの最高傑作と評価するマニアも多い名盤だ。
5つの組曲構成で、アリス・クーパーの「Ballad Of Dwight Fry」、FLIPPERの「Sacrifice」もプレイされているが、もはやオリジナルと言っていい消化ぶり。
最後ブツッと終わり、残るのは言いようもない虚無感。
鬼才。
SLEEP『JERUSALEM』などにも影響を与えたと言われる。

(00/02/24)
★★★★★ ★★★★★



KING BUZZO
(1992 / Boner/Tupelo BR32-2/TUP39-2)
melvins-esque

かつてKISSが4人同時にソロ・アルバムを出したのをパロって、3人同時にソロEPを出したもの。
キング・バゾのソロEPはほとんどの楽器を自らプレイしており(NIRVANAのデイヴ・グロールがドラムスをプレイ、「Skeeter」で喋りまくっている)、3人中最もMELVINSに近い音楽性。「Isabella」はほぼMELVINSナンバーと言っていい曲だ。
ただ他3曲はエレクトロ調だったり弾き語りだったりハードな演奏に喋りが乗っていたり、かなり異なった雰囲気。
MELVINS作品でもなく、実験作でもなく、楽しみながら速攻で作ったことが明白なEPだ。
3枚のソロEPの中では一番楽しめるが、バンド作と較べるとかなりランクが落ちる。

(02/01/06)
★★★★★ ★★



DALE CROVER
(1992 / Boner/Tupelo BR33-2/TUP40-2)
melvins-esque

ソロEPの中では最もメロディがあって聴きやすいのが本作。
後に彼が結成するALTAMONTとは音楽性こそ異なっており、やはりMELVINSの延長線上にあるが、メロディへのこだわりは共通しているかも。
それでも気が抜けた作風で、MELVINSやALTAMONTと較べるとガクンと落ちる。マニア向け。

(02/01/06)
★★★★★ ★★



JOE PRESTON
(1992 / Boner/Tupelo BR34-2/TUP41-2)
earth-esque

バンドに加入してさほど間がないにも関わらず企画に乗ってソロ作を出せたジョー・プレストン。ある意味ラッキーと言えるかも。
1曲目、ラウンジ調の曲に乗せてガキが騒ぐだけの「The Eagle Has Landed」も困ったものだが、後半23分を費やした「Hands First Flower」はまんま古巣EARTHと同様のドローン・スラッジ。途中でリゲティ風?のコーラスも入ったりするが、EARTHの殺気は感じられず、ひたすら眠い。
3枚のソロEPの中では一番つまらない。

(02/01/06)
★★★★★



SALAD OF A THOUSAND DELIGHTS - LIVE
(Video: 1992 / Box Dog Video 番号なし)
(DVD: 2003 / Music Video Distributers DR-2459)
melvins

1991年5月16日、ワシントン州オリンピアの『North Shore Surf Club』で収録されたライヴ・ビデオ。
約55分。
3台のビデオを使って撮影しているがプロショットというほどではなく、ライヴ生撮りに近い。
盛り上がりまくりの演奏だが、そのぶん観客の歓声もかなり入っていてややウザイ。
演奏曲目は:

Antitoxidote / Euthanasia / Zodiac / Oven / If I Had An Exorcism / Boris / Kool Legend / Wispy / It's Shoved / Anaconda / We Reach / Hog Leg

当時のベスト選曲に近いし、白熱したステージの模様を見ることが出来るので、CD/レコードで彼らの世界にハマったファンはぜひ本作も押さえてもらいたい。
ライヴならではのお遊びで「Purple Haze」「Into The Void」もチラリと演っている。
2003年にDVD化。ボーナスとして1984年(バズが若い!)、1991年のライヴ1曲ずつ、「Antitoxidote」の別カメラ・ショットが収録されている。
殊更に本編の画質・音質が向上したわけでもないので、ボーナスだけのために既にビデオを持っている人が買い直す価値があるかは疑問だが、未見の人はこの機会にぜひ。

(03/05/25)
★★★★★ ★★★



HOUDINI
(1993 / MMG AMCY625)
melvins / alternative?

NIRVANAの大ブレイク〜グランジ・ブームにより、その兄貴分であるMELVINSもメジャー『Atlantic』と契約。本作でワールド・デビューを飾った。
メジャー第1弾だからといってまったく妥協はなく、独自のMELVINSワールドは貫かれているが、さすがにノイズ・ナンバーや人をナメた"実験"曲はない。
「Hooch」「Night Goat」「Lizzy」「Honey Bucket」など名曲がズラリと並んでおり、メジャー時代の彼らを代表する傑作に仕上がっている。
カート・コベインが「Sky Pup」「Spread Eagle Beagle」にゲスト参加、6曲を共同プロデュース。ガース・リチャードスン、ビリー・アンダースンもプロデュース/エンジニアに関わっており、ジャケットがフランク・コジックと、当時の"オルタナティヴ"界名うての面々がバックアップしている。
KISSのカヴァー「Goin' Blind」も巧みにアレンジ。
コアなファンからすると悪フザケがないのが食い足りないかも知れないが、とにかく曲が良い。
本作のみ限定でロラックスが復帰。
日本盤にはボーナス曲「Rocket Reducer #62」(シングル「Lizzy」B面曲)を収録。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



PRICK
(1993 / Amphetamine Reptile AMREP031)
crap

絶対に買ってはいけない地雷盤。
『STONER WITCH』制作時のスタジオでの適当な手慣らしフレーズ、ライヴ中の観客のざわめきを"曲"としてCD化したもので、明らかにナメた作り。
ジョン・ケイジばりの無音の曲もあるが、それも実験音楽ではなく、単なる悪フザケ。
"SNIVLEM"名義となっているのは当時『Atlantic』と契約していた彼らが契約逃れとして変名を使ったという説もあるが、裏ジャケには3人の写真がばっちり載っているしバレバレなので、そんな深い意味がある訳がなし。
ただ「これは本来のMELVINS作品じゃないんだよ」ということだろう。
本作からベースにマークDが加入。

(02/01/06)



STONER WITCH
(1994 / MMG AMCY767)
melvins

『Atlantic』からのメジャー第2弾。
前作『HOUDINI』よりも全体的にダークな雰囲気で、ズシッと重量感のある「Skweetis」「Roadbull」、夢見心地の「Shevil」など、いずれもポイントを突いたタイトなナンバーではあるが『HOUDINI』とはかなり趣を異にしている。
「Queen」「Revolve」などはコマーシャル性もあるものの、当時巷で流行っていた"グランジ""オルタナティヴ"とは完全に一線を画したサウンドゆえに大きなヒットを記録することはなかった。
それでもダークMELVINSの傑作として評価されてしかるべき内容だ。
ガース・リチャードスンがプロデュース、ジョー・バレシがミックスを手がけている。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



STAG
(1996 / イーストウェストAMCY2041)
melvins

メジャー第3弾。
グランジ/オルタナティヴ・ブームも末期、ほぼ確信犯的に背を向けた作風で、「The Bit」「Buck Owens」こそヘヴィでコンパクトな曲調(もちろん一筋縄では行かない)だが、ノイジーなインスト「Yacobs Lab」、レイドバックした「Black Bock」、陰鬱なアンフェタミン風味の「Sterilized」〜「Lacrimosa」、激ヘヴィな「Goggles」など全曲が異なったベクトルを向いており、それでいてMELVINSテイストに溢れている。
まったく先を読ませない作風は何度聴いても飽きが来ないし、器用貧乏さも感じさせないが、セールス的にはさほど振るわず。彼らを"第2のNIRVANA"に仕立て上げようとした『Atlantic』は彼らと別離するのだった。
日本盤にはボーナス曲「Interstellar Overdrive」「Tippin' The Lion B」(後に『ELECTRORETARD』に収録された10"からの2曲)収録。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



HONKY
(1997 / Amphetamine Reptile AMREP064-2)
melvins

めでたく『Atlantic』と袂を別ち、インディーズの『Amphetamine Reptile』からリリースしたアルバム。
デジパック仕様でジャケットが思い切り地味なのでEPかと思われそうだが、れっきとしたフルレンス・アルバムだ。
メジャー3作では比較的コンパクトな楽曲をプレイしてきた彼らだが、まるで解き放たれたかのように1曲目「They All Must Be Slaughtered」からいきなり8分のポストロック風アンビエント・ナンバー。
「Mombius Hibachi」「In The Freaktose The Bugs Are Dying」はヘヴィなロック・チューンだが、それ以外の曲は全体的にシンセ、ヴォーカル・エフェクトなど、エレクトロニクス色が目立つ。時にポスト・ロック的な箇所もあり?
「Laughing With Lucifer At Satan's Sideshow」はメジャー・レーベルがMELVINSをプッシュしない言い訳を集めたワルノリ曲。
ただ、ちゃんと曲の体裁を成しているということで、『PRICK』よりはるかに"聴ける"アルバムに仕上がっている。
「Mombius Hibachi」はビデオクリップが作られた。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★



SINGLES 1-12
(1997 / Amphetamine Reptile AMREP063)
melvins

1996年1月〜12月、MELVINSは『Amphetamine Reptile』レーベルから毎月7"シングルをリリース。そのAB面、全24曲を集めた2CDが本作。
オリジナル盤7"はそれぞれ800枚限定プレスだったため、現在高値を呼んでいる。
内容はGERMSやFLIPPERのカヴァーあり、デモあり、リミックスあり、ライヴあり、BRUTAL TRUTHによる「Zodiac」カヴァーあり、ウェイン・クレイマー「Poison」MELVINSリミックスあり、姉ちゃんが絶叫するだけのテイクありで盛り沢山。
作品としてのまとまりはないが、MELVINSのおいしい所をつまみ食い出来る。
GERMS「Lexicon Devil」、FLIPPER「Way Of The World」のカヴァーは絶品。
例によって悪フザケもあるが、それもまたMELVINSの魅力と割り切ればオッケー!
というかそのへん割り切れない人はそもそもMELVINSに手を出さない方が良いでしょう。
どうやら廃盤らしく、最近あまり見かけなくなった。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★



ALIVE AT THE F*CKER CLUB
(1998 / Amphetamine Reptile AMREP072)
melvins

1997年冬、オーストラリアのメルボルンで収録されたライヴ盤CD。
「Boris」「It's Shoved」「Lizzy」「Mombius Hibachi」など、代表曲が間を置かず次々と演奏される。
全7曲、21分41秒は短すぎるし、音質もややショボイが、この密度の濃さは凄い!
演奏も素晴らしく、ミニ・ベストとして楽しめる。
既に廃盤らしいが都内の輸入盤店でしばしば見かけるので、あるうちに押さえておくこと!

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



THE MAGGOT
(1999 / Ipecac IPC-2)
melvins

マイク・パットンの『Ipecac』レーベルからリリースされた三部作の第1弾。
3枚それぞれ異なったコンセプトがあり、本作は"ヘヴィMELVINS編"。
悪フザケも長ったらしいノイズ曲もなく、1曲目「amazon」からラスト「See How Pretty, See How Smart」まで直球ど真ん中の激烈ヘヴィ・グルーヴがリスナーを襲う。
1999年4月の来日公演でオープニングを飾った「The Green Manalishi (With The Two Pronged Crown)」も収録。JUDAS PRIESTのようなリフ主体のアレンジでなく、FLEETWOOD MACのダークなオリジナルをよりヘヴィに増幅している。
三部作中ダントツで凄い出来であり、MELVINSの全作品中でもトップレベルの名盤。聴いて死ね!
CDは何故か1曲目がトラック1・2、2曲目がトラック3・4と二分割されており、全8曲だが16つトラックがある。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★★



THE BOOTLICKER
(1999 / Ipecac IPC-4)
melvins

三部作の第2弾は"ディストーション自粛編"。
全編ヘヴィ度を抑え、クリーンなトーンで通しており、ある意味内省的なアルバムと言えるかも。
10分を超える「Let It All Be」をはじめMELVINSの"味"はあるものの、やはりヘヴィなギターがないと魅力半減。
ちゃんと"音楽"しているぶん『PRICK』よりはずっと良いし、曲も楽しめるが、ちょっと寂しい1枚だ。

(02/01/06)
★★★★★ ★★



THE CRYBABY
(2000 / Ipecac IPC-6)
melvins

三部作ラストは"オールスター・ゲスト編"。
いきなりレイフ・ギャレットを迎えた「Smells Like Teen Spirit」から始まり、デヴィッド・ヨウ(元JESUS LIZARD)、ハンク・ウィリアムスIII世、ヘンリー・ボグダン(元HELMET)、マイク・パットン、ジム・フィータス、SKELETON KEY、TOOL、GODZIK PINK、BLISS BLOOD、ケヴィン・シャープ(元BRUTAL TRUTH)が客演している。
全員が各々キャラを発揮しており、それをMELVINSが真っ向から受ける壮絶なバトル。
TOOLとの15分に及ぶ暗黒ナンバー「Divorced」は死の苦しみを体感できるし、フィータスとの「Mine Is No Disgrace」(タイトルはYESのパロディ)もジャンクな世界に突入、デヴィッド・ヨウと激パンクをぶちかます「Dry Drunk」、ハンク・ウィリアムスIII世とのカントリーなどなど、火花を散らすコラボレーションに身体が熱くなる。
聴くべし。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★★



THE TRILOGY
(2001 / Ipecac IPC-11)
melvins

『THE MAGGOT』『THE BOOTLICKER』『THE CRYBABY』を集めたアナログ盤3枚組セット。
アナログ盤に各アルバムを収めるため、何曲かカットされている。
それぞれのアルバムの内容は上記のとおり。
3枚ともピクチャーディスク仕様で、相対する団体・組織のロゴが印刷されている。
『THE MAGGOT』はA面がナチ、B面がユダヤ。
『THE BOOTLICKER』はA面がKKK、B面がブラック・パンサー。
『THE CRYBABY』はA面がキリスト教、B面がサタニズム。
ずしりとした重量感もたまらないし、CDを持っていても、つい手が出てしまうコレクターズ・アイテムだ。
さっさと市場から姿を消したため、最近ではプレミアが付いている。

(03/05/25)
★★★★★ ★★★★



ELECTRORETARD
(2001 / Man's Ruin MR2002)
melvins

『Man's Ruin』レーベルからリリースされた変則企画盤。
1996年にリリースされた10"『Interstellar Overdrive』からの「Interstellar Overdrive」「Tripping The Lion B」(『STAG』収録曲とは別テイク)を含め、既発曲のリメイクやカヴァーが全8曲収録されている。
リメイク曲はオリジナルとはかなり異なっているが、「Gluey Porch Treatments」「Lovely Butterlfies」などハードなアレンジが楽しめる。
PINK FLOYDのカヴァー「Interstellar Overdrive」はほぼ完コピ。10"はプレミア物になっているが、やや期待ハズレだ。
一方WIPERSのカヴァー「Youth Of America」はアップテンポで激しい演奏で10分という長丁場を疾走。理屈抜きに無茶苦茶カッコイイ!
1曲目「Shit Storm」がアルバム中一番つまらない曲で萎えるが、それさえ超えれば天国だ。
フランク・コジックによるアートワークは旧作ポスターの使い回しだが、ユーモアと残虐性が程よくブレンドされていて素晴らしい。

(02/01/06)
★★★★★ ★★★



COLOSSUS OF DESTINY
(2001 / Ipecac IPC-14)
noise / melvins

1998年12月13日、カリフォルニア州クパティーノの『Club Mangler』(本当に実在するかは未確認)で収録されたライヴ盤。
ケヴィン・ラトマニスがKorny Ass Joker名で、そしてTOOLのアダム・ジョーンズがサポートとして参加している。
全59分28秒のうち最初の56分はノイズと効果音のコラージュで正直寝るが、ラスト3分で突如ドラマチックに盛り上げ「Eye Flys」に突入。なんだか帳尻を合わせてしまうのが凄い。
その意味では9ッぐらい付けてもいいような気がするが、いくら何でもイントロ56分というのはキツイ。
ブツ切れで聴いても意味がないので、1時間まるまる費やせるときに聴くべし。

(02/01/06)
★★★★★



FANTOMASMELVINS BIG BAND
MILLENIUM MONSTERWORK 2000
(2002 / Ipecac IPC-19)
Melvins+Fantomas

2000年12月31日、サンフランシスコの『Slims』で収録されたライヴ作。
MELVINSとFANTOMASが完全合体、両バンドの曲を次々と繰り出すスーパーユニットで、しかもお互いの曲に干渉しまくり。
マイク・パットンがMELVINSナンバーを叫び、デイル・クローヴァーがFANTOMASナンバーを叩きまくるという絢爛豪華な狂宴が実現している。
同じライヴ盤でも『COLOSSUS OF DESTINY』よりはるかにロックしており、取っ付きやすい。
この日演奏された全32曲のうち18曲しか収録されず、歓声も一部分を除いてカットされているなど、ライヴを忠実に再現したドキュメントというよりも"作品"という意味合いが強い。
もちろんステージ上の興奮とスリルは損なわれておらず、約60分間どきどきしながら楽しめる。控え目に言って"買い"。
なお当日演奏されたのは以下の曲目:

Sacrifice / Black Stooges / Page 01 / Page 02 / Page 04 / Night Goat / Promise Me / The Omen / Cherub / The Bit / Page 29 / Page 11 / Page 03 / Chariot Choogle / Dave Scott Stone Noise / Mary Lady Bobby Kins / Lovely Butterfly / Page 14 / Jew Boy Flowerhead / Page 06 / Page 10 / Hooch / Mombius Hibachi / Page 23 / Skin Horse / Cape Fear / Page 27 / Page 28 / Experiment in Terror / Let God Be Your Gardener / AMAZON / Let It All Be(encore)

(02/05/14)
★★★★★ ★★★★



HOSTILE AMBIENT TAKEOVER
(2002 / Ipacac IPC-20)
Melvins

『TRILOGY』三部作を経てリリースされたスタジオ・アルバム。
痛快なヘヴィ・ロック「Black Stooges」(中盤のドラム乱打が圧巻!)、カントリー・パンクっぽい「Dr.Geek」、後半突如エレクトロニカ風のフレーズが飛び出す「The Fool, The Meddling Idiot」、スローな呪詛「The Anti Vermin Seed」など、曲ごとに異なった表情を持つラインアップだが、かなりタイトな楽曲を揃えており、悪フザケ的なナンバーはない。
メジャー時代の『STAG』に最も近いアプローチと言えるかも。
ギター、ドラムスがヘヴィなだけでなくベースがこれまで以上にググッと前面に出ているため、ボトム・ヘヴィなグルーヴ感が心地よいウネリに引きずり込んでくれる。
「Dr.Geek」はベースのケヴィン・ラトマニスの古巣COWSの延長線?と思えるほど、ベースが自己主張していてナイス。
多彩で新機軸も打ち出したサウンドにも関わらず、どこを切ってもMELVINS。煮ても焼いても食えないけれど美味。もちろん傑作だ。
『COLOSSUS OF DESTINY』に続いて本作にもTOOLのアダム・ジョーンズがゲスト参加しているが、どの曲かは不明。
HEARTのナンシー・ウィルソンがプロデュースするという噂があったが、デマだった。
2003年11月に『デイメア・レコーディングス』が日本盤を出す予定があったが(CPC8-7007)、実現していない。

2003年1月から3月にかけて、アルバムの全7曲をA面にした7"アナログ・シングルが7枚リリースされた(Ipecac IPC-21〜27)。
それぞれB面は未発表テイクあるいはカヴァー。但し「Antivermin」のみは1曲をAB面に分けたものだった。
各々1,500枚ずつの限定盤で、コレクター心をそそるアイテムだが、B面曲はどれもそんなに面白いものでもない。
マニアオンリー向けだろう。

(03/05/25)
★★★★★ ★★★★★

さらに2004年秋のアメリカ・ツアーではCDサイズのコンパニオン・アート・ブック『The Melvins Trick And Riddle Book?』も発売され、ライヴ会場で販売された。
メンバーの写真は数枚あるのみだが、Burlesque Designのアートワーク(バズの奥方マッキー・オズボーンも協力)で『H.A.T.』の世界観が上手く表現されている。



MELVINMANIA - THE BEST OF THE ATLANTIC YEARS 1993-1996
(2003 / Atlantic 5050466574428)
melvins

ヨーロッパの『Atlantic』レーベルが『HOUDINI』『STONER WITCH』『STAG』からの曲をピックアップしたコンピレーション盤。
既発曲ばかりで、それら3作を持っていれば全曲を聴くことが出来るが、「Honey Bucket」「Revolve」「Bar-X-The Rocking m」のビデオクリップがCD extraとして収録されているのが見逃せない。
滅多に見ることが出来ないクリップゆえにそれだけで貴重だが、オマケ程度の低画質動画なのが残念。
バンドは選曲にまったく関与しておらず、バズも「サンプル盤すら送ってこない」と文句を垂れている1枚。
レーベルを超えたMELVINSのベストを聴きたければ、本『NEITHER HERE NOR THERE』に付けられたCDがおすすめだ。

(04/11/06)
★★★★★ ★(←音楽は最高だが、アルバム3枚を買った方がいい。)



NEITHER HERE NOR THERE
(2004 / Ipecac IPC-47)
melvins book+cd

バンド・デビュー20周年を記念して刊行されたアート・ブック。
デビュー以来のジャケット・アート、Tシャツやポスターのデザイン、バズの奥方マッキー・オズボーン、TOOLのアダム・ジョーンズを筆頭にMELVINSにゆかりのあるアーティスト達によるイラストレーション、エッセイ集など、盛りだくさんな内容の全220ページ。
イラストを眺めているだけで面白いが、初期MELVINSの作品をリリースしてきた『Boner Records』のTom Flynnによるグランジ黎明期の思い出話、『Ipecac Records』のGreg Werckmanによる序文、Allan McDonellによるレコード・ハンティング日誌など、エッセイも充実している。
付録CDも1984年のデモから2002年、『HOSTILE AMBIENT TAKEOVER』の「The Fool The Meddling Idiot」までレーベルを超えて代表曲を全18曲をセレクションしており、『PRICK』のタイトル曲など、ファンをナメまくった曲まで収録のベスト選曲。
彼らの作品どれを最初に買えばいいか?という初心者は、まず本作を聴くといいだろう。
なお、cinderblock.comのオフィシャル通販サイトのみでハードカバー版が売られた。
通常版はオレンジのソフトカバー表紙だが、こちらは赤表紙。
ハードカバー版は既に入手困難、ソフトカバー版もそろそろ市場から消えかけているため、見かけたら何が何でも押さえておくべし。

(04/11/07)
★★★★★ ★★★★★



MELVINS+LUSTMORD
PIGS OF THE ROMAN EMPIRE
(2004 / Ipecac IPC-54)
melvins

1980年代末から活動しているエレクトロニック・ノイズ・アーティスト、LUSTMORDとのコラボレーション作。
お互いに一歩も譲ることのないぶつかりあいだが、LUSTMORDのアンビエント・ノイズを生かしながらも、全体的にロック色が濃い。
特に「Night Goat」「Hooch」ばりにズシンと腰に来るナンバー「The Bloated Pope」、ファスト・ハードコア・ナンバー「Pink Bat」は、MELVINSファンなら十分納得の素晴らしい内容だ。
しかし本作のハイライトは23分を超える「Pigs Of The Roman Empire」。
お互いの持ち味をいかんなく発揮、不穏アンビエント・サウンドとMELVINS節が交錯し、すれ違いざまに散らす火花がエクスタシーをかもし出す。
このタイトル曲だけでも本作を押さえる価値はあり!
LUSTMORDをバンドに紹介したのはTOOLのアダム・ジョーンズで、本作にも参加している。

(04/11/07)
★★★★★ ★★★★★



JELLO BIAFRA WITH THE MELVINS
NEVER BREATHE WHAT YOU CAN'T SEE
(2004 / Alternative Tentacles VIRUS300)
Dead Kennedys style hardcore

MELVINSと元DEAD KENNEDYSのジェロ・ビアフラによるコラボレーション作。
DEAD KENNEDYSスタイルのハードコアをMELVINSがプレイするという、夢の共演が実現。
嬉々として豪球一直線のハードコア・ナンバーをプレイするバンドに乗って、ジェロがポリティカルな毒を吐いて吐いて吐きまくる。
初期DEAD KENNEDYSのような一瞬にして脳裏に刻まれる名曲はないが、いい歳をこいているのに当時のままのテンションを維持しており、何度聴いても飽きがこない。
MELVINSのスラッジィな側面は抑えられている一方で、分厚いリフとグルーヴは健在だし、不穏なイントロから突如ブチ切れる「Plethysmograph」、重低音サウンドに乗せた「Dawn Of The Locust」は両者の魅力を引き出している凄演。
9.11後のアメリカの警備強化を皮肉った「The Lighter Side Of Global Terrorism」(私物をチェックする検査員を変態扱い)のビアフラ節も痛烈!
最近めっきり準レギュラー化しているTOOLアダム・ジョーンズもゲスト参加。
元々この企画は、とある酒場でバズとジェロ・ビアフラの交わした会話から始まったもの。
元メンバーがDEAD KENNEDYS名義でツアーを行っていることについてジェロが不満を洩らしていたところ、バズは「だったらMELVINSがバックを務めるから、俺たちもDEAD KENNEDYS名義でツアーしようぜ!」と言い出した。
だがジェロが「そういう後ろ向きなツアーには興味がない」と答えたため、新曲をレコーディングすることになったのだとか。
なお、アルバムもう1枚ぶんの音源がレコーディングされており、2005年に『SIEG HOWDY』としてリリースされた。

(04/11/07)
★★★★★ ★★★★



MELVINS / TOMAHAWK / MONDO GENERATOR / earthlings?
T.V. EYE #3
(2004 / 自主制作 番号なし)
dvd magazine

DVDマガジン『TV EYE』第3弾。
今回はMELVINS、TOMAHAWK、MONDO GENERATOR、earthlings?の4バンドがフィーチュアされており、ライヴ映像とインタビューが収録されている。
いずれも日本ではなかなか見ることの出来ないバンドのため、超貴重。
ライヴ・フッテージは素材をそのまま、変な画像処理を施すことなく収めているため、ライヴの生々しさをそのまま体感することが出来て嬉しい。
収録されているライヴ曲目は:

MELVINS: Zodiac (2003/5/1 Henry Fonda Theater)
MONDO GENERATOR: Ode To Clarissa (2003/4/23 Spaceland)
TOMAHAWK: Laredo (2003/5/1 Henry Fonda Theater)
earthlings?: Nothing (2002/3/13 Troubadour)
MELVINS: Night Goat (2003/5/1 Henry Fonda Theater)
MONDO GENERATOR: 13th Floor (2002/3/13 Troubadour)
TOMAHAWK: Rape This Fog (2003/5/1 Henry Fonda Theater)
MELVINS: The Bit (2003/5/1 Henry Fonda Theater)

その他MONDO GENERATOR、earthlings?の音楽を使ったイメージ・フィルム、earthlings?のミュージック・ビデオ「Johnny B Goode」「Saving Up For My Christmas」がボーナス収録されている。

(04/11/07)
★★★★★ ★★★★



JELLO BIAFRA WITH THE MELVINS
SIEG HOWDY
(2005 / Alternative Tentacles VIRUS350)
hardcore

MELVINSとジェロ・ビアフラによるコラボレーション作第二弾。
全10曲中新曲が4曲、アリス・クーパーのカヴァー「Halo Of Flies」、前作『NEVER BREATHE WHAT YOU CAN'T SEE』収録曲のロング・ヴァージョンが1曲、リミックスが3曲、DEAD KENNEDYSの「California Uber Alles」ライヴという構成。
純然たる新曲が少ないため、前作と較べると水増し感もあるが、やはりかっこいい。
新曲は前作ほどモロにDEAD KENNEDYSしていない感じ。
人生の反面教師たちを歌った「Lessons In What Not To Become」はビアフラ節全開のハードコア・ナンバー。
パンクの腐敗を嘆く「Those Dumb Punk Kids (Will Buy Anything)」では「エマニエル坊やがGERMS加入!コートニーがNIRVANAに加入!」といったネタと共に、古巣DEAD KENNEDYSの現状も痛烈に批判している。
「The Lighter Side Of Global Terrorism」のロング・ヴァージョンは激烈だし、「California Uber Alles」の歌詞を2005年風にアレンジし、アーノルド・シュワルツェネッガー州知事をおちょくりまくった「Kali-fornia Uber Alles 21st Century」も最高。
3曲のリミックスはオマケっぽいが、DALEKによる「Dawn Of The Locusts」リミックスは良い。
すっかりレギュラーと化しているTOOLのアダム・ジョーンズは5曲に参加。
ジャケット・アートワークはカミーユ・ローズ・ガルシアの作品が使われている。
前作のインパクトはないが、「California Uber Alles」という飛び道具のせいで話題性もあるし、やっぱり内容は充実しまくり。
MELVINSやビアフラの音楽に初めて触れる人にはお勧めできないが、両者のファンだったら燃える瞬間がいくつもある。

(05/09/30)
★★★★★ ★★★



HOUDINI LIVE 2005: A LIVE HISTORY OF GLUTTONY AND LUST
(2006 / Ipecac IPC76)
melvins

アルバム『HOUDINI』をステージで再現したライヴ盤。
2005年10月、イギリスのロンドンとダブリンで『All Tomorrow's Parties』フェスティバルの名盤再現ライヴ・イベント『Don't Look Back』の 一環として行われた『HOUDINI』全曲演奏の出来が良かったため、カリフォルニア州ヴァーノンの倉庫でもう一度ライヴを行って録音した。
曲順は異なるが、全曲をプレイ。スタジオ・テイクとは異なった生命が吹き込まれ、随所で新しいアレンジも加えられている。
「Set Me Straight」後半にはCREAMの「Deserted Cities Of The Heart」をプレイするというサプライズも。
次にどの曲がプレイされるのだろう?というスリルもあり、『HOUDINI』を聴きこんでいても、否、聴きこんでいればいるほど楽しめる逸品。
ベーシストはトレヴァー・ダン。

(07/03/15)
★★★★★ ★★★★



(A) SENILE ANIMAL
(2006 / Ipecac IPC-82)
melvins

単独オリジナル・アルバムとしては4年ぶりとなる作品。
キング・バゾ(g,vo)とデイル・クローヴァー(ds)の不動の二人と、BIG BUSINESSのデュオジャレド・ウォーレン(b, vo)とコーディ・ウィリス(ds)が 合体。ツイン・ドラムス編成に。
その結果、多彩なヴォーカル・ハーモニーやリズム・トラックをフィーチュア、さまざまな音の工夫を凝らした、MELVINS史上最もサウンド・テクスチャーにこだわった"凝った"作品となっている。
ただ、いたずらに実験性に走ることなく、ストレートにロックする楽曲揃い。ツイン・ドラムスが絡み合うことで、刺激とスリルが増している。
悪フザケ曲はない。
アップテンポのリフとリズムが絡み合う「The Talking Horse」、スラッジーなグルーヴ感が腰骨を砕く「The Mechanical Bride」、「Night Goat」のリフを引用した 「A History Of Bad Men」など、聴きどころに次ぐ聴きどころの連続。
「Rat Faced Granny」〜「The Hawk」〜「You've Never Been Right」の畳みかけるハードコア三部作も強烈なノリ。
2006年においてもMELVINSが不動の個性を誇る唯一無比の存在であり、常に前人未踏の地に踏み込んでいくパイオニアであり続けることを証明する傑作だ。

(07/03/15)
★★★★★ ★★★★★



SOLO WORKS


DALE CROVER
DRUMB
(1995 / Man's Ruin MR004)
ambient noise

MELVINSのドラマー(兼ALTAMONTのギタリスト)、デイル・クローヴァーのソロ7"。
A・B面ともドラム・サウンドにエフェクトをかけたノイズ・アンビエント・インストゥルメンタルで、そう何度も聴くものではない。
アメコミ風ジャケとはかなりギャップのある作品だが、当時のMELVINSと初期『Man's Ruin』の気合いの入りようが窺える。
内ジャケットはエンタープライズ号乗組員が全員Mr.スポックになっているというもの(一人だけ何故かサッチモだが)。

(99/12/17)
★★★★★


THRONES

click here



MARK D.
THE SILENT TREATMENT
(2001 / Tee Pee TP-031CD)
bottom heavy groove rock

90年代中盤にMELVINSのベーシストだったマーク・デュートロムがバンド脱退後にリリースした初のソロ・アルバム。
ドラムスをジョン・エヴァンスが担当している以外、すべての楽器をマークが演奏している。
音楽性はMELVINSの延長線上にあるヘヴィ・グルーヴ・ロックだが、元々ベーシストだっただけあり、重低音がズシンと効いている。
サザン・ロック調の曲からメランコリックな哀感ナンバーまで収録されていて、路線を絞り切れていないきらいもあり、そのせいかMELVINSほどのスケールの大きさは感じさせないが、かなり楽しめる小品集ではある。
1曲目「Toshiro Mifune」はダークなミディアム・チューンで、三船敏郎とどう関係あるか不明。
「Van Diemens Land」はU2と同名異曲で、破壊的でカッコ良いロック・ナンバー。
まずは下の7"で味見してみて、気に入ったらアルバムに進んでもいいかも。

(02/07/03)
★★★★★ ★★★



MARK D.
5 Skull Bake b/w El Morocco
(2002 / Southern Lord SUNN12.5)
bottom heavy groove rock

『Southern Lord』シングルズ・クラブの第7弾としてリリースされた7"。
ジャケットがなく、単に白ジャケにステッカーを貼っただけ(一部サイトでピクチャー・ジャケが掲載されているが、実際にはジャケはない)。しかもB面「El Morocco」は『THE SILENT TREATMENT』収録曲(テイクも同じ)なので、今イチ購買欲をそそらない。
A面「5 Skull Bake」はアルバムと同路線のダウナーなワンコード・ナンバー。
B面「El Morocco」はBORISの「1970」を思わせるヘヴィ・グルーヴ・チューン。
両曲とも良質な曲であり、アルバムを持っていればあまり面白味はないものの、アルバムを買うかどうか決める試食盤としては使える。

(02/07/03)
★★★★★ ★★